青森県警が、住居侵入容疑で逮捕した米軍三沢基地(三沢市)所属の1級空兵、ローレンス・A・ボップ・ジュニア容疑者(21)。ラブホに潜入し、無粋な諜報(ちょうほう)活動に励んだはいいが、天井が抜けて御用となった。なんとも間抜けなのぞき魔の素顔は、007も真っ青のスパイだった。
調べによると、ローレンス容疑者は先月20日午前3時50分ごろ、三沢市内の平屋建てのモーテルの天井裏に屋根から侵入したうえ、天井を破壊したため、男性会社員(38)が就寝中の部屋に落下した。「逮捕時は酩酊状態で、天井をみずから破壊して侵入した」(捜査幹部)という理解不能な犯行だった。
手口の浅はかさから、跳ねっ返りの若い兵士による犯行とみられたが、意外すぎる犯人の所属先が関係者に衝撃を与えた。米兵は行動の秘密が重要な諜報部隊の所属だったのだ。
「諜報部員は、外部との接触はするなというのが基本原則。ほかの兵士に比べると、自由は制限されるため、ストレスはたまるでしょうが、それにしても…」
軍事評論家、江畑謙介氏はこうあきれかえるが、そのワケは三沢基地が持つ特殊性にある。
「空軍と海軍直轄の諜報部隊とともに、国防総省の直轄するNSA(国家安全保障局)も諜報活動を展開している三沢は、全世界に張り巡らされた米国のインテリジェンス(情報部門)の中核を担っている」(江畑氏)
基地では空、海軍の軍事衛星が世界中の通信を傍受している。江畑氏が「一番謎に包まれた組織だ」と指摘するのが、基地内にあり、NSAを中心に英米同盟5カ国によって運営されるという通信傍受機関『エシュロン』の存在だ。
北朝鮮の金正日総書記の長男・金正男氏が成田空港で摘発された事件や、日本赤軍最高幹部だった重信房子被告(ハーグ事件に関与したとして上告中)の動向をキャッチしたのも、エシュロンだとされている。
「2001年4月、中国の海南島上空で発生した米海軍機と中国機との衝突事故に端を発する領空侵犯事件の海南島事件では、米軍機内にNSAの複数の要員が乗り込んでいたとされている。これにより、エシュロンの存在がクローズアップされた」(同)
まさに007も真っ青の世界。それにしても世界的諜報機関のスパイの任務がラブホの盗聴では、洒落にもならないが、捜査幹部は「公務でないことは間違いない」としている。
簡単なヨーグルトダイエットPR