世界を震撼させた米証券大手、リーマン・ブラザーズの経営破綻。東京株式市場にも先週(16~19日)、ショックが走り、東証1部の39銘柄が下落率15%以上の暴落に見舞われた。資金面でリーマンと関係の深かった会社では「社長が法的整理を決断したようだ」との未確認情報が流れ、同社株が投げ売り状態になる場面もあった。市場関係者はこれら銘柄を強い関心を持って見守っている。
リーマンが破綻した15日は敬老の日のため東京市場は休場だったが、3連休明けの16日から相場は激しく上下に動いた。
結局、主要銘柄からなる日経平均株価、東証1部全体の値動きを示す東証株価指数(TOPIX)とも、先週4営業日で約2.4%の下落となった。そんななかで、39銘柄が相場全体の下落率を大きく上回る15%以上の暴落に見舞われたのである。
救済問題で揺れ動いた外国株の米保険最大手AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)は、12日終値2000円から19日には372円まで下落。下落率は81.4%に達し、東証1部上場銘柄のなかでワースト1となった。
同社は、サブプライム住宅ローン関連の証券化商品を大量保証していたことなどから、資金繰り不安が台頭。「リーマンの次の破綻候補」と受け取られ、日米の市場で株が投げ売り状態になった。
16日(日本時間17日朝)に、米連邦準備制度理事会(FRB)が約9兆円のつなぎ融資をAIGに対して行う救済策を発表したが、見返りとして、米政府が約80%の同社株を取得できる権利を持つことから、株価は低迷したままとなっている。
リーマン・ブラザーズ破綻後に急落した東証一部銘柄(クリックで拡大) 2番目に下落率が大きかったのは、ノンバンクのSFCG(旧商工ファンド)で29.6%。19日には4660円を付け、上場来安値を更新した。
同社は2007年7月31日時点で、リーマングループからの借入金が734億3300万円に上っていたことで話題を呼んだ。「市場で未確認情報が飛び交っていた」(大手証券)という同社は9月18日、「積極的に返済や借り換えを行ってきた結果、(リーマンからの)借入金は同日時点で52億9000万円のみであり、全く影響がない」とのリリースを公表した。
銀行でもっとも下落率が大きかったのは新生銀行で19.8%。18日には254円を付け、上場来安値を更新した。同行は、無担保融資250億円や社債90億円など最大380億円のリーマン向け債権を保有。22日には、08年9月中間期の連結純損益予想を従来の280億円の黒字から、150億円の赤字に大幅下方修正した。
同業では、693億円のリーマン向け債権を抱えているあおぞら銀行も約13%下落。18日に151円の上場来安値を付けた。
15.6%下落した中堅損保の富士火災海上保険は、リーマン、AIGと関係がある。富士火災がAIG株約15億円相当を保有する一方、AIGも子会社などを通じて計23%の富士火災株を保有している。さらに、リーマンが発行した社債14億円相当も保有しているため、不安視された。
金融以外で目立ったのが不動産。リーマンは日本でマンションや商業施設、オフィスビル向けなどの不動産担保融資を手掛けていたほか、貸出債権を証券化し投資家に転売していた。もともと新興不動産会社の株価は業績や資金繰りへの不安から急落傾向だったが、リーマンの破綻で資金繰り懸念がより強まり、一段安を招いたようだ。
ワースト3の日本綜合地所(28.8%)やサンシティ(25.9%)は、「新興不動産会社の株が下落傾向を強めるなか、折に触れてストップ安になるなど値を下げてきた銘柄」(中堅証券)。リーマン関連では、賃貸アパート大手レオパレス21が20.9%下落した。同社は破綻したリーマン・ブラザーズ・コマーシャル・モーゲージに約16億円貸し出していたことを発表している。
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